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移転時の原状回復は何に注意すべき?店舗移転や事務所移転で役立つポイントを紹介

テナント豆知識

俣野 絵未

筆者 俣野 絵未

不動産キャリア4年

明るく元気がモットーです!


店舗や事務所の移転を考えたとき、「原状回復」という言葉に不安や疑問を感じる方は多いのではないでしょうか。


実は、移転時の原状回復には思わぬトラブルや費用負担が生じやすく、正しい知識がないと損をすることもあります。


この記事では、移転にともなう原状回復の基本や、計画の立て方、トラブルを防ぐポイント、そして店舗や事務所それぞれの注意点について分かりやすく解説します。


移転で後悔しないための具体策を知りたい方は必見です。


移転時の原状回復とは何か、まずは基本を押さえる

移転(店舗移転・事務所移転)の際には、「原状回復」とは借りていた時の元の状態に戻して貸主へ明け渡す義務を指します。


民法第六百二十一条には、「通常の使用による損耗や経年変化は除く」と明記されており、日常の使用による劣化は借主負担の対象外として定められています。


 また、国土交通省のガイドラインによれば、通常損耗は原則として貸主負担とされ、借主が負担すべきは故意や過失による損傷などです。


賃貸借契約書に原状回復義務の範囲が記載されている場合、契約書の特約内容によってどこまで負担するかが変わるため、契約締結時に特に注意が必要です。


出発時ではなく、むしろ契約時に原状回復について明確に取り決めておくことがトラブル防止につながります。


具体的に何を戻すかというと、間仕切りや造作物、床・壁・天井の内装、照明・設備などを借りた時の状態に戻す範囲で行われます。内容は物件や契約によって異なりますので、必ず契約書で確認が必要です。

要素説明ポイント
法的根拠民法第621条で「通常損耗は除く」と定める日常的な使用による劣化は借主負担外
ガイドライン国土交通省の指針により裁判でも参考にされる特約がない場合の判断基準となる
原状回復範囲造作撤去、内装・設備の復旧など契約内容により範囲が異なるので要確認

移転スケジュールと原状回復の計画をどう立てるか

移転の際には、まず退去日から逆算して原状回復の計画を立てることが不可欠です。


賃貸契約には「退去予告期間」が定められていることが多く、通常は3〜6か月前までに解約の意向を通知する必要があります。


これを怠ると、違約金や追加賃料の支払いが発生するおそれがありますので、契約書の条項を確実に確認しておきましょう 。


原状回復の期間は規模によって差がありますが、事務所の場合、例えば小規模(20~50平方メートル)ではおおよそ1週間から2週間、中規模(50~200平方メートル)では2週間前後、大型の場合はさらに長くかかる傾向にあります。


店舗のケースでも、10~20坪(約33~66平方メートル)で1~2週間、20~50坪で2週間~1か月程度が目安となります 。


余裕を持ったスケジュールを立てるために、以下のような流れで工程を整理することをおすすめいたします:

タイミング実施内容
3〜6か月前退去通知を貸主へ。契約書の退去予告期間を確認
2〜3か月前原状回復範囲の確認と複数業者への見積もり依頼
1〜2か月前業者選定、工事スケジュールの確定、旧店舗・事務所内の備品撤去計画
退去前原状回復工事・最終清掃・貸主との立会い調整

これにより、繁忙期(3〜4月や9〜10月)など業者が混みやすい時期でも、余裕を持って準備できるため、工期延長などのリスクを軽減できます 。


見積もり依頼から業者選定、工事完了までのプロセスを時系列で整理しておくと、どの段階でどの作業を進めるべきかが明確になり、移転に伴う負担が大幅に軽減されます。


特に複数業者への見積もり依頼は、費用面でも有効であるため、早めの行動が重要です 。

費用トラブルを回避するための原状回復の注意点

移転時の原状回復において費用を巡るトラブルを防ぐためには、事前の対策が欠かせません。以下のポイントを押さえて、安心して移転作業を進めてください。

注意点内容解決策
①指定業者の確認契約書で貸主が工事業者を指定している場合がありますが、その見積価格が適正かどうか確認が必要です。契約書の条項を十分に読み込み、不明な点は貸主に確認を取りましょう。見積内容に納得できなければ別途相談・交渉も可能です。
②相見積もりの取得見積書の内訳が曖昧だと、追加費用の請求などトラブルに繋がりやすいです。複数の業者から見積を取り、費用の内訳を詳細に比較して妥当性を確認してください。
③通常損耗と借主負担の線引き一般的に「通常損耗」(経年劣化や入居中の自然な使用による劣化)は借主負担外ですが、事業用では契約によって借主に広く負担を求められる場合があります。契約時に負担範囲を明確に確認し、不当に広い負担が求められていないかチェックしましょう。

まず、契約書に「指定業者による工事」が定められている場合、その見積価格が相場に合っているかどうかを慎重に確認することが重要です。


見積内容の納得が得られない場合は、貸主と相談の上、相見積もりの取得を提案するのも一つの方法です。


次に、工事費用の見積もりに不明瞭な点があると、後から追加請求されるリスクがあります。


複数の業者から見積りを取って、項目ごとの金額を比較することで、費用妥当性の判断が可能になります。


さらに、通常損耗と借主負担の線引きを明確にしないと、不要な費用請求につながるおそれがあります。


国土交通省のガイドラインや民法の趣旨に照らしながら、契約内容と照合して負担の範囲を整理し、過剰な請求への備えをしましょう。


たとえば、経年による壁紙の色あせや軽微な使用の傷などは通常損耗とされることが多いですが、事業用契約では別の場合もあります。


契約条項の曖昧さはトラブルの温床になるため、入居前に確認することが大切です。


このように、「指定業者」「相見積もり」「負担範囲の明確化」の三点を意識して準備を進めれば、費用トラブルを未然に防ぎ、よりスムーズな移転と原状回復を実現できます。

店舗移転・事務所移転それぞれの特有の注意点

店舗移転や事務所移転に伴う原状回復では、それぞれ特有の留意点があります。


まず、店舗移転では厨房設備やカウンターといった造作・特殊設備の撤去が発生します。厨房の給排水や排気ダクト、グリーストラップ、油汚れや臭気の処理など、飲食店特有の設備の撤去とクリーニングにかかる費用や工期が多くなる傾向があります。


また、契約が「スケルトン返し」か「居抜き方式」かで対応が変わるため、契約内容の確認が不可欠です 。


一方、事務所移転では間仕切りの撤去、OA配線・通信配線の復旧、音や振動に配慮した工事などが必要になります。


例えば、間仕切りやパーティションの撤去、カーペットや床材の張替え、配線設備の復旧に伴う費用負担が発生します。


また、共用床への振動規制やビルの工事時間の制限に注意し、貸主との調整が重要です 。


さらに、店舗・事務所共通で重要なのは、共有部分や搬出経路、夜間工事の制限といったビル全体への配慮です。


例えば、階段やエレベーターの使用時間、夜間の大きな音を伴う工事の可否など、ビルの規則に応じた工事スケジュール調整が必要になります 。


以下に、注意点を項目別に整理した表を示します。

対象 注意点 具体内容
店舗 厨房設備・造作物 厨房器具、排気・給排水設備の撤去、油汚れや換気ダクトの清掃
事務所 間仕切り・OA配線 パーティション撤去、通信配線の復旧、カーペット張替え
共通 ビル・施設配慮 共有部搬出、夜間工事制限、エレベーター使用時間調整

以上のように、店舗移転と事務所移転では設備や内装構成の違いから原状回復で押さえておくべきポイントに差があります。


さらに、建物全体への配慮や立地に応じた調整も不可欠です。


契約書内容や建物の規定をしっかり確認したうえで、必要に応じて専門業者と相談しながら進めることをおすすめします。

まとめ

移転時には、原状回復の基本を理解し、契約内容を確認することが重要です。


計画的にスケジュールを立てることで、余裕をもって準備ができ、費用や工期のトラブルも防ぎやすくなります。


また、見積もりの比較や契約内容の明確化により、余計な負担や過剰な請求を避けることができます。


店舗や事務所によって注意点が異なるため、ご自身のケースに合わせて丁寧に進めることが安心に繋がります。


不明点や不安な点は早めに相談しましょう。

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