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テナントの契約更新前に確認したいポイント!オーナーが押さえるべき注意事項を解説

オーナ様に向けて

俣野 絵未

筆者 俣野 絵未

不動産キャリア6年

明るく元気がモットーです!

テナントの契約更新が近づくと、賃料や条件をどう見直すべきか、更新をすべきか迷うオーナーは少なくありません。
一方で、借地借家法の考え方や契約更新のポイントを理解しないまま手続きを進めると、思わぬトラブルや機会損失につながるおそれもあります。
そこで本記事では、テナント契約更新を控えたオーナーが押さえておきたい基本と実務上の注意点を整理しながら、具体的なチェックポイントや条件見直しの考え方をわかりやすく解説します。
まずは、現在の契約内容と自分の意向を整理しつつ、どのような選択肢があるのかを一緒に確認していきましょう。

テナント契約更新の基本とオーナーの権利

まず、テナントとの賃貸借契約には、普通借家契約と定期借家契約という大きく分けて2つの形式があります。
普通借家契約は、期間満了後も借主が使用を続けるか、更新合意があれば、原則として契約が続く仕組みです。
一方、定期借家契約は借地借家法第38条に基づき、あらかじめ定めた期間の満了によって更新されず終了する契約形態です。
オーナーとしては、どちらの契約かによって更新の可否や交渉の余地が大きく変わるため、まず契約種別を正確に把握することが重要です。

次に、普通借家契約における更新には、借地借家法第26条に定められた「法定更新」と、当事者同士の話し合いによる「合意更新」があります。
オーナーから期間満了前に更新しない旨の通知がなく、テナントが使用を続ければ、特段の合意がなくても法定更新となるのが原則です。
一方で、期間や賃料その他の条件を見直したうえで更新する場合には、新たな契約書や覚書を取り交わす合意更新とするのが実務上一般的です。
オーナーとしては、どちらの形で更新されるのかを意識しながら、早い段階で自らの意向を整理しておくことが求められます。

もっとも、オーナーが更新を拒絶したり、賃料その他の条件を大きく変更したりするには、借地借家法第28条に定める「正当事由」が必要とされています。
正当事由の有無は、オーナーとテナント双方の建物使用の必要性、従前の経過、利用状況、建物の現況、立退料の申出の有無などを総合的に考慮して判断される点が特徴です。
また、期間の定めがある普通借家契約を終了させるためには、通常、期間満了の1年前から6か月前までに更新しない旨を通知することが必要とされています。
事業用テナントの場合、契約書上の通知期間として3〜6か月前と定められている例が多いため、自らの契約に定められた期限を確実に確認し、余裕を持って対応することが大切です。

項目 普通借家契約 定期借家契約
更新の基本形 法定更新と合意更新 期間満了で終了
更新拒絶の条件 正当事由の要件 原則として不要
通知期間の目安 1年前〜6か月前 再契約通知を個別設定

テナント契約更新時に押さえておきたい主なチェックポイント

テナントの契約更新では、まず現在の賃貸借契約書にどのような更新条項が定められているかを丁寧に確認することが大切です。
特に、契約期間の満了日、更新の有無や更新方法、更新後の契約期間の取り扱いは、オーナー側の今後の運営計画に直結します。
あわせて、更新の意思表示が必要かどうか、その通知期限が「何か月前まで」と定められているかも重要な確認事項です。
これらを早めに把握しておくことで、更新するかどうか、条件を見直すかどうかの判断を計画的に進めやすくなります。

次に、賃料や共益費、更新料などの金額面について、契約上の見直し可否とその手続を確認する必要があります。
多くの契約では、更新時に賃料改定の協議を行う旨や、一定の更新料を支払う旨が条項として定められています。
そのうえで、最近の賃料水準や経済情勢、物価や人件費の動きなど、公的統計や不動産市況データを参考にしながら、現行賃料とのバランスを検討することが望ましいです。
一方的な大幅変更はトラブルの原因となりやすいため、テナントの事業継続性も踏まえた現実的な水準を意識して判断することが重要です。

さらに、テナントの実際の利用状況を踏まえたリスク管理の視点も、更新時の重要な確認ポイントです。
契約時と比べて用途が変わっていないか、営業時間の拡大や深夜営業の有無、騒音や振動、臭気などが近隣に影響していないかを、日常の状況と照らし合わせて整理しておくとよいです。
もし契約書で定めた用途や使用ルールと異なる利用が見られる場合には、更新のタイミングで原状への是正や、必要に応じた条項の見直しを検討することができます。
こうした利用実態の点検を行うことで、建物全体の資産価値や近隣関係を守りながら、安定した賃貸経営につなげやすくなります。

確認項目 主なチェック内容 オーナー側の対応方針
更新条項 契約期間・更新方法・通知期限 満了前のスケジュール把握
賃料等条件 賃料・共益費・更新料の見直し可否 相場と経済情勢を踏まえた検討
利用状況 用途変更・営業時間・騒音等の実態 リスク管理と条項見直しの検討

オーナー目線で考える賃料・条件見直しの基本ポイント

事業用建物の賃貸借では、長期の契約関係の中で経済情勢や不動産市場が変化し、当初の賃料が実勢とかけ離れてしまう場合があります。
このような場合に、借地借家法第32条に基づき、賃料の増額または減額を請求できるとされています。
具体的には、租税その他の負担の増減、土地や建物価格の上昇・下落、近傍同種建物との賃料比較などにより「不相当」と判断されるときに、将来に向かって賃料改定を求めることが可能です。
ただし、請求が認められるかどうかは個別事情の総合判断となるため、十分な根拠資料を備えておくことが重要です。

賃料増減請求の可否や適切な増減率を検討する際には、客観的なデータに基づいて判断することが欠かせません。
代表的な資料として、近隣の賃料事例、固定資産税評価証明書や路線価図などの租税公課に関する資料、地価公示等の公的価格、消費者物価指数などの経済指標が挙げられます。
さらに、不動産鑑定士による鑑定評価書や調査報告書を活用することで、継続賃料の水準をより精緻に把握することもできます。
これらの資料を組み合わせて、現行賃料と相当賃料の差を定量的に示すことが、説得力ある説明につながります。

更新に合わせて見直したい特約としては、原状回復の範囲や負担区分、サイン・看板の設置位置や大きさ、用途制限や営業時間に関する条項などが挙げられます。
原状回復については、国土交通省が公表しているガイドラインで「原状回復とは、借主の故意・過失等により生じた損耗等を回復すること」と整理されており、通常損耗や経年変化の扱いを明確にしておくことが重要です。
サイン・看板や用途制限についても、景観や近隣への影響、建物全体のテナント構成との調和を踏まえて、オーナーとして許容できる範囲を契約書に具体的に記載しておくと安心です。
こうした特約を更新時に整理しておくことで、退去時や利用方法をめぐる将来の紛争リスクを大きく減らすことができます。

テナントとの事前協議を円滑に進めるためには、賃料改定や条件見直しの理由を客観的資料とともに説明できるよう準備しておくことが大切です。
具体的には、賃料水準の比較表、建物の修繕履歴や将来の修繕計画、税負担の変化などを整理し、「なぜ今この条件が適切なのか」を筋道立てて示すことが求められます。
また、賃料だけでなく、更新期間や共益費負担、原状回復範囲など複数条件を組み合わせて提案することで、双方が歩み寄りやすい余地も生まれます。
更新期日の相当前から協議を始め、書面で議事録や合意内容を残しておくことで、誤解や行き違いを防ぎ、信頼関係の維持にもつながります。

項目 主な内容 オーナー側の準備
賃料増減請求 経済事情変化による賃料見直し 近隣相場や公的指標の収集
特約見直し 原状回復や用途制限の再確認 現行条項と実態のギャップ整理
事前協議 更新条件の説明と合意形成 提案条件と根拠資料の作成

トラブルを防ぐための更新実務と専門家活用術

テナントとの契約更新では、更新しない場合も条件を変更して更新する場合も、書面による手続きと記録管理が重要になります。
まず、借地借家法に基づく通知期間や、契約書に定められた更新手続きの期限を確認し、余裕を持って準備を進めることが大切です。
更新しない場合は、更新拒絶の意思と理由を記載した書面を内容証明郵便などで送付し、配達証明等を含めて保管しておくと、後の紛争予防に役立ちます。
条件変更を伴う更新では、合意した条件を必ず書面化し、契約書の更新条項や覚書として双方署名押印のうえ保管しておくことが求められます。

立退きを検討する場合は、借地借家法上の正当事由が必要とされ、オーナーとテナント双方の建物使用の必要性や、賃貸借の経過、利用状況などが総合的に判断されます。
このとき、立退料の有無や金額は、正当事由を補完する事情の一つとして考慮されるとされていますが、具体的な金額水準は個別事情によって大きく異なります。
そのため、テナントの営業実態や売上情報、移転に伴う負担の程度、建物の老朽化状況などを丁寧に把握し、記録に残しながら検討することが有用です。
また、立退きの申入れは感情的な対立を招きやすいため、書面での丁寧な説明と、一定の協議期間を設ける配慮が望まれます。

紛争を避けるためには、早い段階から専門家に相談し、法的な見通しと実務的な対応策を整理しておくことが有効です。
具体的には、借地借家法や事業用賃貸に詳しい弁護士、賃料や立退料の妥当性評価を行う不動産鑑定士、契約書の条項整理を支援する宅地建物取引士などが相談先の候補になります。
相談前には、現在の賃貸借契約書、過去の更新や条件変更の経緯、テナントとのやり取りの記録、建物の図面や修繕履歴などを整理しておくと、短時間で的確な助言を受けやすくなります。
このように、実務の流れと専門家の役割を意識しながら準備を進めることで、トラブルを未然に防ぎ、円滑な契約更新につなげることができます。

場面 主な対応 意識したいポイント
更新しない場合 期限内の書面通知 正当事由と記録保存
条件変更して更新 合意内容の契約書反映 覚書作成と署名押印
立退きを検討 専門家への早期相談 立退料含む総合判断

まとめ

テナントの契約更新では、契約書と借地借家法の両方を踏まえた判断が欠かせません。
契約形態や更新方法、通知期限、賃料や特約の見直しポイントを整理することで、オーナーとしての権利とリスクをバランスよく守ることができます。
更新の可否や条件変更、立退きの検討などで迷われた際は、早めに専門家へ相談しつつ、当社へお気軽にお問い合わせください。
物件の状況やテナントの実情を丁寧に伺い、オーナー様にとって最適な更新戦略をご提案いたします。

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